主力銘柄のアイモバイルが、先日立会外分売を実施しました。
結論から申しますと、売れ残りが発生していまして、およそ15%程度が残っているようです。株価も暴落しています。株主涙目、という感じでしょう。
さて、この立会外分売は今年に入ってから2回目になります。目的は、他でもない東証一部への昇格を狙ったものです。そこで、この記事ではアイモバイルが東証一部昇格の道のりを確認してみます。何がどうなれば昇格できるのかを理解することがゴールです。
東証一部昇格の基準とは?
東京証券取引所が示している東証一部昇格に際しての基準があります。
この基準によりますと、全部で7項目の形式要件があります。昇格の審査にあたっては事業の継続性やコーポレートガバナンスなどの数値化しづらいチェック項目が存在しますが、形式要件というのは数値的にそれを充足している必要がある項目と言えるでしょう。7項目の詳細は以下になります。
- 株主数
- 流通株式数等
- 売買高
- 時価総額
- 純資産額
- 利益または時価総額
- 虚偽記載又は不適正意見等
早速ではありますが、東京証券取引所が定めるそれぞれの基準値と、アイモバイルの実際の数値を比較して、昇格における要件で何が足りないのかを探っていきます。
※数値は執筆時点で最新版の会社四季報より抜粋。
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1.株主数
東証が定める株主数は2,200人以上となっていますが、アイモバイルは7284名となっており、この要件を満たしています。この株主数の基準が足りずに昇格できないケースも多いのですが、アイモバイルは余裕を以って超えています。
2.流通株式数
この項目にはさらに細かな項目が存在します。
- a.流通株式数 2万単位以上
- b.流通株式時価総額 20億円以上
- c.流通株式数(比率) 上場株券等の35%以上
まず、aの流通株式数ですが、2万単位に対して221万単位以上ありますので、余裕でクリア。そして、bの時価総額ですが、こちらも20億円以上に対して270億円ですので、何ら問題ありません。
そして、cの流通株比率ですが、これはクリアしていません。現在の流通比率は、推定で31%前後と見られ、基準の35%を満たすには100万株以上売出しが必要となります。優待の発表で、株式の魅力度が高まっているため、さらなる分売を実施するのが基本線になるかと思います。
3.売買高
売買高の基準は以下のようになっています。
- 申請日の属する月の前の月以前3ヶ月間及びその前の3ヶ月間の月平均売買高が200単位以上
これは余裕でクリアしていますので、問題ありません。
4.時価総額
時価総額は40億円以上が基準ですが、アイモバイルの時価総額は230億円(執筆時点)ほどですので、これも余裕でクリアしていますね。そもそも、時価総額が40億円という基準が低すぎな気もしますが...
5.純資産額
昇格基準では、「連結純資産の額が10億円以上」となっていますが、141億円以上ありますので、こちらも問題なくクリアしています。
6.利益または時価総額
利益の基準、または時価総額の基準は以下のいずれか一方を満たしている必要があります。
- a.最近2年間の経常利益の合計5億円以上
- b.時価総額が500億円以上 (最近1 年間における売上高が100 億円未満である場合を除く)
アイモバイルは、直近2年間の経常利益の合計がおよそ44億円ですから、この基準を満たしていることになります。しただって、クリア。
7.虚偽記載又は不適正意見等
これは問題ありませんので、クリア。ちなみに、基準としては、以下のような基準が設定されています。
-
最近5年間の有価証券報告書等に「虚偽記載」なし
-
最近5年間「無限定適正」又は「除外事項を付した限定付適正」
-
次の(a)及び(b)に該当するものでないこと
(a)最近1年間の内部統制報告書に「評価結果を表明できない」旨の記載(b)最近1年間の内部統制監査報告書に「意見の表明をしない」旨の記載
形式基準のまとめ
全7項目のうち、「流通株式数(比率)」のみ充足できていないことになります。それ以外は基準を満たしています。
足りない株も分売で売り出せば、ある程度早いタイミングで基準を満たせるように思います。2018年中には昇格できるようになるのではないかと予想しています。
東証一部に昇格したい理由は何か?
アイモバイルがこれまでのIRで東証一部への鞍替えを公言していますが、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。
一般的には、信用力の増加と調達できる資金量が増加するということが上げられます。信用力の増加は金融機関からの借り入れを行う際の金利を下げる効果があったりしますが、アイモバイルは有利子負債がゼロなので、今後も借り入れは積極的には行わないでしょう。
アイモバイルが昇格で狙っていることは、恐らく市場から直接金融で調達できる資金の増加と、昇格に伴う株価高ではないかと思います。
超がつくほど積極的ではないにしても、M&Aには積極的な姿勢が見られますので、株価が高い方が当然いい訳です。今後、株価が高くあれば、M&Aのペースも高まって、より高利益な企業へと変貌していくような気がしています。